宇治観光その2「宇治上神社」

「平等院」から宇治川を渡り、世界遺産である「宇治上神社(うじかみじんじゃ)」へ。観光客で賑わう平等院とは一味違い、ひっそりとした趣に思わず姿勢を正します。明治維新までは近くにある「宇治神社」と合わせて「宇治離宮明神」と呼ばれていたこともあるそうです。その創建年代は不詳という歴史深い場所でもあり、平等院建立の際にはその鎮守社として崇敬を集めました。

門をくぐると、円錐形の小さな二つの山「清め砂」の後方に国宝の「拝殿」が見えます。鎌倉時代に前期に建築された寝殿造りで、現存する最古のものです。一見、本殿と間違えてしまうくらいの風格が漂います。屋根の形が優美で妻に庇をつけた縋破風(すがるはふう)の美しさも必見ですよ。拝殿の後ろ側にある「本殿」は、流造り(ながれづくり)・桧皮葺(ひわだぶき)で、内部にはさらに一間社流造り(正面・側面とも幅が一間)の三棟の内殿を一列に並べ、共通の覆い屋で覆った特殊の構造をしています。平安時代後期の遺構とされ、こちらもまた日本最古の神社建築といわれています。なぜ内殿が三棟あるかというと、御祭神が応神天皇・仁徳天皇・菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の三人いるからだそうです。菟道稚郎子は応神天皇の皇子で兄である仁徳天皇に皇位を譲る為、自ら命を絶ったという悲しい話がここには残されています。皇位の座を奪い合うのではなく、お互い譲り合うという切なくも美しい兄弟愛。菟道稚郎子が暮らしていた跡地に社殿が建つと伝えられています。

右手には宇治七名水のひとつ、桐原水(きりはらのみず)がこんこんと湧いています。現在、宇治七名水で唯一残っている貴重な名水です。こちらをそのまま飲むことはできませんが、お茶の水にと汲んで帰る人も多いそうです。「お茶」ということころが宇治ならではですね。

また、宇治は「源氏物語」の終焉の舞台としても知られています。第45帖目の「橋姫」から最終の「夢浮橋」までの十帖部分は「宇治十帖」と呼ばれ、「橋」に始まり「橋」で終わっています。舞台が都から宇治へと移す「橋」であり、主人公・光源氏から子・薫、孫・匂宮へとバトンタッチされる「橋」でもあります。近くには「源氏物語ミュージアム」もあり、物語のもっと深い部分を知ることができます。以前訪れたときにとても楽しめたところなので、個人的にとてもお勧めの場所です。歴史が深く、大人が十分に楽しめる場所・宇治。観光のプランの一つにいれてみては?

宇治上神社
住所:〒611-0021 京都府宇治市宇治山田59
TEL:0774-21-4634
拝観時間:8:00~16:00 拝観料:無料

源氏物語ミュージアム
住所:611-0021 京都府宇治市東内45-26
TEL:0774-39-9300
ホームページ:http://www.uji-genji.jp/
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで) 休館日:月曜日・年末年始
観覧料:500円

2011年10月10日追記:「京都・宇治灯り絵巻2011」の一環として「宇治上神社特別夜間拝観」が行われました。イベントの様子と写真は、京都・宇治灯り絵巻2011「宇治川」の記事をお読みください。

宇治観光その1「平等院鳳凰堂」

京阪電鉄・宇治線の「京阪宇治駅」を出ると、目の前に広がるのは広大な「宇治川」。橋を渡りながら遠くに見える朱色の橋が、時間を現在から過去へといざなってくれます。広大で美しい川、京都の歴史は水と共にあります。物思いにふけながら平等院参道を歩いていると、お茶の焙じる香ばしい香りに思わずうっとり。ここはお茶の香りが「かおり風景百選の道」にも選ばれている素敵な場所。さすがお茶のまち・宇治。ここで一息ついて、平等院へと向かうことにしましょう。

平安後期の1052年、時の関白・菅原頼道が父である道長の別荘を寺院に改めた場所が「平等院」です。対岸にある「宇治上神社(うじがみじんじゃ)」と共に世界遺産に認定されています。その翌年に「阿弥陀堂」が建立され、翼廊と尾廊を持つ優美な姿と大棟の両端に鳳凰を乗せていることから「鳳凰堂」の名で呼ばれています。十円玉の表側のデザインとして、すっかりおなじみですね。阿弥陀堂の前は池を配した浄土式庭園となっていて、扉が閉ざされていても、格子窓により仏のお顔が池の向こうからからくっきりみえるように工夫されています。池の上に浮遊するかのように建つその姿は、まるで極楽の宝池に浮かぶ宮殿のよう。長い年月をかけて積み上げられたその美しさは、年を重ねる人生そのものの美しさに似ているような気がしました。また、庭園には四季ごとに色とりどりの花を楽しむことができます。藤、ツツジ、そして平等院蓮と呼ばれる他では見ることのできない花も愛でることができますので、そちらもお忘れなく。

境内南側には「平等院ミュージアム鳳凰館」があります。国宝の建築・彫刻・絵画・工芸が集積し、最新のデジタル技術を駆使したCG映像展示の備えもある新時代型のミュージアムです。ほの暗い室内の中に浮かぶ展示物は貴重なものばかりで、思わず見入ってしまいます。中でも極楽浄土に向かう人々へ音楽を奏でながら送るという「雲中供養菩薩」は心に残るものでした。

大人なって分かる良さというものがあります。ここ平等院ではそういうことを感じる瞬間が多くありました。京都旅、一足伸ばして宇治までどうぞ。さて、次は宇治川を通って宇治上神社へ。そしてあの源氏物語の世界をご案内します。

平等院
住所:〒611-0021 京都府宇治市宇治蓮華116
TEL:0774-21-2861
ホームページ:http://www.byodoin.or.jp/haikan.html
拝観料:入園+鳳凰館(平等院ミュージアム)600円 鳳凰堂内部拝観は別途300円
拝観時間:平等院庭園 8:30~17:30、鳳凰館 9:00~17:00、鳳凰堂内部 9:10~16:10

2011年10月10日追記:「京都・宇治灯り絵巻2011」の一環として「平等院特別夜間拝観」が行われました。まさしく極楽浄土を彷彿させるその幽玄な写し姿については、京都・宇治灯り絵巻2011「平等院」の記事をお読みください。