祇園祭 山鉾その2 「船鉾」

日本書紀の「神功皇后(じんぐうこうごう)」をめぐる説話に由来し、鉾全体が船の形をしている珍しい「船鉾」。船の先端には金色の鷁(げき)、船尾には黒漆塗青貝螺鈿細工の飛龍文様の舵を付け、船端には朱漆塗の高欄をめぐらしています。屋内内に飾られた神宮皇后は、面を付け、頭に天冠を頂き、紺金襴の大袖に緋の大口、緋縅の大鎧を付けています。長い歴史の中で改装が重ねられ、現在の船鉾は江戸時代に完成したといわれています。


船鉾 (山鉾巡行 2011年7月17日)

夫・仲哀天皇の死後201年~269年まで政事を執り行った神功皇后。神託により、妊娠したままで海を渡り、男装をして朝鮮半島へ出兵し、新羅の国を攻め勝利を得たとの記述が日本書紀に残されています。渡海の際は、お腹に月延石や鎮懐石と呼ばれる石を当ててさらしを巻き、冷すことによって出産を遅らせたといいます。帰路で無事に後の応神天皇を出産したことから、ご神体に多くの岩田帯を巻きつけ、巡行後に安産祈願の御腹帯として授与する習慣があります。他には航海の安全にもご利益があるとされています。


船鉾 (山鉾巡行 2011年7月17日)

船鉾は神功皇后が遠征したときの「出陣の船」で、実はもう一つ「凱旋の船」と呼ばれる「大船鉾(おおふねほこ)」が存在します。こちらは三度の大火に見舞われ、山鉾を焼失していますが「居祭り(いまつり)」と呼ばれる懸装品を宵山に飾るという長い歴史をもっています。今秋には復興によりお披露目予定もあり、今後が楽しみなところ。二基の船鉾が揃った姿が見ることができる日が待ち遠しいですね。余談ですが、鉾本体の製作に必要な費用は約1億2000万円という記事を読みました。桁違い…こんなに費用がかかるとは思ってもいませんでした。


船鉾 (鉾曵初め 2011年7月13日)

わたしは今年、この船鉾の「曳き初め」に参加してきました。この日だけは、町衆気分で見上げるほど大きな山鉾を引くことができるのです。綱を引くことで1年間の厄除けになるともいわれている有難い行事でもあります。祗園囃子が鳴り響き、本番さながらに「エンヤラヤー」の掛け声がかけられます。小さな娘を連れて少し心配でしたが、周りの方がとてもやさしく、一緒になって楽しく曳き初めを体験することができました。曳き初め後には御礼として、拝観券がもらえて何とも嬉しい限り。こちらは14日~16日の後日に使用できます。装飾などの細かな説明を聞くことができたり、直接山鉾に乗ることもできます。拝観券は購入することもでき、幾つかの鉾以外は実際に上ったり、写真を撮ることもできます。本当に貴重な機会ですので体感することがお勧めですよ。

山鉾保存会名:祇園祭船鉾保存会
住所:下京区新町通綾小路下ル船鉾町391-1