自然美と恋物語の「勧修寺氷池園」

勧修寺(かじゅうじ)は、京都市山科区にある門跡寺院で真言宗山階派大本山です。醍醐天皇が宮道弥益邸宅を改めて建立され、藤原高藤の号名から名付けられました。「勧修寺氷池園」と呼ばれる庭園が景勝とされています。

庭園の門をくぐると最初に宸殿が見えます。奥の書院は京都市指定有形文化財です。1697年頃に明正天皇の御殿を下賜されたもので、江戸時代初期の御所の建物です。明治以降に一時期は小学校として使用されたこともあったようです。ちなみに奈良国立博物館所蔵の国宝「刺繍釈迦如来説法図」は元々は勧修寺の所蔵で、第二次大戦後に国有になったものです。つまりそれくらい歴史のある由緒正しい寺です。

水戸黄門さまが寄進したとされるユーモラスな佇まいの「勧修寺灯篭」は、樹齢750年の「偃柏槙(ハイビシャクシン)」に周囲をびっしりと覆われています。この写真に写っている枝葉は、広範囲に伸びた樹の一部分でしかありません。

庭園の中心にある「氷室池」は、大小3つの島が浮かぶ2万平方メートルもある広大な池です。島には鷺が巣を作り景色の一部として取り込まれています。写真奥に見える「千年杉」の枝にとまった鷺の姿はそれだけで水墨画の世界です。素人がテキトーに切ったシャッターでも、このハイクオリティな写真が撮れます。平安時代の毎正月には、この池に張った氷をに宮中に献上し、氷の厚さで五穀豊穣を占ったそうです。

池泉回遊式の庭園なので、池をぐるりと回ろうとすると「この先 行かれるのはご自由ですが大いに危険」の看板。そう言われると行くしかない。と先へ進むと。

看板の先には石仏がありました。さらに奥へ進むと氷室の池を裏側から望むことができます。鷺の様子も間近に。千年杉の側まで行くと、そこにも「危険」の看板が。上から鷺の糞が降ってくるのでそういう意味でも危険です。行き止まりにはならずに、池正面まで戻って来れるので「危険」を承知で足を運んでみるのも一興です。春から夏にかけてが、池の草木が美しい季節だと思います。

余談ですが、寺の名前の由来となった藤原高藤ですが、彼と宮道弥益の娘の列子(たまこ)との恋物語を「玉の輿」の語源とする説もあります。勧修寺は元々は宮道弥益の邸宅であり、偶然に雨宿りをした高藤が列子と出会った場所です。婚活中の女子の皆さんは、ここを訪れると『今昔物語集』にも描かれている「玉の輿のステキな出会い」のご利益にあやかれるかもしれません。

勧修寺
住所:京都府京都市山科区勧修寺仁王堂町27-6
最寄駅:京都市営地下鉄東西線小野駅
休日:年中無休
拝観時間:9:00~16:00
拝観料:400円
問い合わせ:075-571-0048