鞍馬の火祭「サイレヤ、サイリョウ」2012

京都の三大火祭と三大奇祭に挙げられる由岐神社の例祭「鞍馬の火祭」へ行ってきました。素晴らしいお祭りでした。


(祭りの最後に燃やされる特別な神楽松明)

古くは宮中に祀られていましたが、京の都で大地震や天慶の乱などが続き、朱雀天皇の勅で天慶3年(940年)に現在の鞍馬山へ遷宮して北方鎮護することになりました。「鞍馬の火祭」はその遷宮のときに里人がかがり火を持って神霊を迎えたことを起源としているとされています。

例祭は9時から由岐神社で始まります。日中ずっと2基の御神輿は鞍馬寺の石段に置かれており、氏子町内の家々では剣鉾、甲冑、縄などが祀り飾られていて見学することができます。15時を過ぎると叡電は大混雑します。出町柳駅前は有り得ないくらいの長蛇の列になるので早めに出かけて日中に鞍馬の町を散策するのも良いかもしれません。鞍馬温泉まで歩いて行けば駐車場に屋台が並んでいるので食事も取れます。

夕日が沈んで18時になると「神事にまいらっしゃ~れ~」の合図とともに家々で用意された篝火が点されます。最初は「トックリ松明」と呼ばれる一番小さな松明を持った幼児が、続いて小松明と中松明を持った就学児が、「サイレヤ、サイリョウ」という威勢の良い掛け声とともに松明を担いだ子どもたちが大人に付き添われながら氏子町内を下って上がって何度も練り歩きます。そして最後に大人が登場。アップテンポな鞍馬太鼓が打ち鳴らされる中を数メートルある大松明を担いで歩きます。正装束を着た若者たちの勇壮な姿はカッコイイです。昔の人はこの大松明をたった一人で担いでいたそうです。

20時を過ぎると剣鉾を先頭にして鞍馬寺山門前の石段下に松明が集まり始め、21時には数百本もの松明を持った氏子が集まります。注連縄が切られ由岐神社から2基の御神輿が出発して参道と石段を下ります。成人を迎えた若者が神輿の担い棒にぶら下がり、逆さ大の字に足を広げる「チョッペンの儀」が行われます。

しかし歩行者規制で立ち止まることができないのでこれらの神事が観れるかどうかはタイミング次第です。運が悪いと何もない狭い順路で1時間以上も立ち往生することもあります。上の写真の川沿い順路は去年までは木の柵すら無い状態だったので危険でした。

お祭りを見学予定の方は「京都おこしやす.com」と「京都新聞」の特集記事がスケジュールや注意点など詳しく掲載されていて分かり易いのでオススメです。「鞍馬の火祭」は観光イベントではなく神事であることを充分に理解して進行の邪魔をしないよう心がけましょう。

最後に。祭りを見た個人的な印象ですが、祭礼の正装束である船頭篭手や腰みの、漁業のいさり火を思わせる松明からは海での漁を中心にした人々のニュアンスも感じられます。貴船神社(元は上賀茂神社の摂社)の「船形石」にまつわる黄船の遡上伝説や、太田神社(上賀茂神社の摂社)で行われる成人の儀式「幸在(サンヤレ)祭」で九州の大島紬を着る風習など含めて考察するに、九州から四国を経て尼崎から鴨川を遡上して鞍馬貴船にまで移り住んだ人々が古代にいたのではないかなと。もしかしたら「サイリョウ」は「タイリョウ(大漁)」なのかもしれません。わたしは関東の分譲住宅地で神仏も歴史もなくただ眠るだけに帰ってくる街(ベッドタウン)で生まれ育ったので、先祖から代々受け継がれる祭りがあることがホントに羨ましいです。

鞍馬の火祭
開催日:毎年10月22日
会場:鞍馬寺石段前と氏子町内
拝観料:無料

由岐神社
住所:〒601-1111 京都市左京区鞍馬本町1073番地
ホームページ:http://www.yukijinjya.jp/
拝観料:200円(※神社は拝観無料だが鞍馬寺の境内にあるので山門を通る愛山料がかかる)
最寄駅:叡電「鞍馬駅」