上賀茂神社「夏越祓式」

上賀茂神社では6月30日の晦日に「夏越祓式(なごしはらえしき)」が行われました。

まずは午前10時に「夏越神事(なごししんじ)」が行われます。
神職が立砂の前に設けらた茅輪(ちのわ)のくぐり初めをして、その後に氏子崇敬者たちが続いて茅の輪をくぐります。このとき上賀茂神社では「みな月のなごしの祓へするひとは ちとせのいのち のぶといふなり」と心の中で唱える習わしになっています。この和歌は「題しらず/よみ人知らず」として、西暦1006年頃に編纂された『拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)』にも入っています。読む和歌は神社によって異なるようです。

全員が茅の輪くぐりを終えると、神職はそのまま拝殿へと入り、そこで祝詞を捧げながら木で作られた人形を背中側に放り投げるようにして川へ流します。これで「夏越神事」は終わりです。

その後に本殿にて「水無月大祓式(みなづきのおおはらえしき)」が行われます。こちらは非公開なので詳細は不明です。

そして日も落ちた午後8時。いよいよ「夏越祓式(なごしはらえしき)」となります。
基本的には午前中の「夏越神事」と同様の神事が行われますが、夕闇の中に焚かれた篝火の炎が川面に揺らぐ中での神事は、その雰囲気も全くの別物で思わず息を飲みます。神職の茅の輪くぐりが終わると、拝殿にて和歌が読まれ、その後に氏子崇敬者より持ち寄られた紙で作られた人形を投じて半年間の罪穢を祓い清めます。有名な神社だけに流す人形は相当な量で「ならの小川」が大量の人形で白く見えるほど。人形以外に、交通安全を祈願する車形もありました。

この神秘的な儀式の光景は百人一首にも読まれています。
「風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」従二位家隆『新勅撰集』

現代語訳は、たぶん以下のような感じです。
「風がそよそよと吹いて楢木の葉を揺らしている。ならの小川の夕暮れはすっかり秋の気配となっているが、この禊ぎがまだ夏であることの証なのだ」
※当時の6月晦日は現在の8月上旬頃にあたるので、我々とは少しズレた季節感になっているようです。

ちなみに茅の輪については諸説あるらしく、上御霊神社では「輪に使われた茅を引き抜いて、自分で小さい茅の輪を作って自宅に飾ると半年のあいだ無病息災で過ごせる」とのことですが、北野天満宮では「茅の輪くぐりは、穢れを茅に移すことで無病息災を得る風習であり、茅を持ち帰ることは穢れを自宅に持ち帰ることになるので避けるようにすべき」とのことです。どちらが正しいということではなく、それぞれの神社の風習に従って、神御霊神社では持ち帰り、北野天満宮では持ち帰らないようにするのが良いでしょう。

また、ここ京都では夏越祓に「水無月」という三角形の白ういろうに小豆をのせた和菓子を食べる習慣があります。小豆には悪霊ばらいの意味があり、三角形は暑気を払う氷を模したといわれています。

来年の6月30日にも「夏越祓式」は行われるそうなので、次回は皆さんもぜひご参列ください。

賀茂別雷神社(上賀茂神社)
住所:京都市北区上賀茂本山339
TEL:075-781-0011
ホームページ:http://www.kamigamojinja.jp/
参拝:無料
駐車場:有料