ANTEROOM PROJECT

「アート京都2012」に合わせて「ホテルアンテルーム京都」で、「SANDWICH」と京都造形芸術大学大学院総合造形の名和ゼミ参加学生による共同企画展「ANTEROOM PROJECT」がスタートしました。もちろん宿泊しなくても入場無料で見学することができます。


(山下拓也:AQNQTQEQRQOQOQMQ)


(井口真理子:ASIAN PEOPLE)


(田辺真弓:melt)


(山下拓也:DON-VASSA)


(写真奥/名和晃平:Gush#32)

京都を拠点に活動する若手作家たちが、ギャラリースペースのほか、ロビーやラウンジ、レストラン、客室、喫煙所など、さまざまなスペースを使った展示をセルフオーガナイズしています。特に山下拓也さんのストリート感覚と遊び心は今後も活躍が期待できると思います。

「アート京都2012」もモントレホテルと国際会館の両会場を物色しましたが、マンガ・アニメ表現を取り入れた作品や、既製品を部品にして再羽化させたような作品が多かったです。ギャラリー主体だから「売る」前提で、はっちゃけた作品を持って来にくいのは分かるのですが、アートフェア東京で昨年も見た作品がまた展示されているギャラリーもあり、少しばかり目新しさに欠けるなというのが正直な感想です。

ANTEROOM PROJECT
期間:2012年4月27日〜6月28日
会場:HOTEL ANTEROOM KYOTO GALLERY 9.5 ほか
住所:〒601-8044 京都府京都市南区東九条明田町7番
開廊時間:12:00〜19:00
入場料:無料
主催:ANTEROOM PROJECT実行委員会
ホームページ:http://hotel-anteroom.com/

出展作家 : 井口真理子、王婷瑩、金光男、小宮太郎、神馬啓佑、田辺真弓、冬木遼太郎、ペへモリッケ、村田宗一郎、森伊織、森貴之、山下拓也、ほか

京都みなみ会館で映画を観る。

京都みなみ会館は近鉄東寺駅から徒歩2分の映画館です。

パチンコ屋の2階にあるので建物外壁にはギラギラとネオンが輝いていて、どこからどうみても映画館には見えません。現在は1階のパチンコ屋は休業しているらしく、その駐車場に映画館利用者は無料で停めることができます。

看板脇の階段を上がると、食堂で食券を売っているような地味な券売機。ここで当日券を買ってロビーへ。狭くて小汚くて雑然とフライヤーとポスターがいたるところに置かれている。この雰囲気は個人経営のライヴハウスに近いです。原則として持込飲食はこのロビーのみ。上映中は館内購入品のみ飲食可だそうです。

ロビーの雑然とした雰囲気と違って、劇場内の座席は意外にもキレイで、スクリーンも音響もかなり良い感じでした。1つのスクリーンで1日5〜7本くらいの色々な映画を上映しています。ロードショーから単館系から自主制作から古今東西いろいろです。

今回は、BANKSY(バンクシー)監督「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」を観ました。バンクシーは、現代アートに関心のある人なら誰もが知っているグラフィティアーティストのトップスターです。そんな彼が初監督したグラフィティアートのドキュメンタリー映画がどんなものなのか、ずっと公開を待ち望んでいました。彼以外にもスペース・インベーダーやゼウス、シェパード・フェアリーらも登場。

物語はビデオカメラで四六時中撮影しまくるという変わった趣味を持つ古着屋店主のティエリー・グエッタが、実従兄にあたるスペース・インベーダーのストリート・アートを撮影したことにはじまります。スペース・インベーダーのストリート活動に感動したティエリーは、それから毎晩のようにストリート活動へ同行して、ゼウスやシェパード・フェアリーら数多くのグラフィティ・アーティストたちの制作風景(※軽犯罪行為)をビデオカメラで記録し続けました。何年も何年も。これらの映像は撮りっぱなしで放置されていました。何年も何年も。

しかし、ちょっとしたきっかけでバンクシーのLAでのストリート活動を手伝うことになったティエリーは、ディズニーランド事件などの危機を乗り越えていつしかバンクシーの信頼を得るようになります。そして、ついに何年も撮りっぱなしで放置していたビデオテープから編集作業をして、グラフィティアートの映画を作りました。ティエリーの編集した映画を見たバンクシーは、出来上がった映像のヒドさに驚き、彼に「取り合えずテープは置いていって、グラフィティアートをやってみれば?」とすすめます。ここから映画は急転。ティエリーはミスター・ブレインウォッシュとしてストリート活動を開始。バンクシーたちを撮り続け、ときには見張り役として、ときには助手としてその全てを体験してきたティエリ。ストリート活動にすっかりハマってしまった彼の暴走は止まらず、何と自分の古着屋を処分してお金を作ると、いきなり大規模なショー「Life is Beatiful」を開催。しかも大成功してしまう。ショーの現場で苦笑いするシェパード・フェアリー。

バンクシーは「最初は映画のタイトルを『クソのような作品をバカに売りつける方法』というタイトルにしたかった」と語っています。ミスター・ブレインウォッシュや自分の作品をバカみたいに高い金で買っているアート・コレクターたちに対する皮肉が込められています。映画の冒頭でティエリーが自分の古着屋を「ちょっと珍しい古着はデザイナー物として売る。仕入値の100倍で売れることもあるよ」と語っているシーンもアートシーンを揶揄してるのだと思います。

90年代、グラフィティ・アートが急速にその影響力を拡大していった背景にあるのは「デジタルカメラ」と「インターネット」の普及にあると思います。それまでは、外壁や縁石に描いたグラフィティ・アートは見つかれば、すぐ消されたり上書きされたりして、どんな傑作であっても短期間で無くなってしまうのが当たり前でした。しかし「デジタルカメラ」が登場したことで、人々は路上のグラフィティ・アートを簡単に安価に記録することができるようになりました。フィルムカメラとのコスト差は歴然です。刹那の生命だったグラフィティ・アートは、デジタルデータとして記録されることで半永久的な作品寿命を手にしたのです。さらにデジタルデータ化されたグラフィティ・アートはインターネットを通じて、世界中の人々の目に止まるようになりました。時間的制約と空間的制約の呪縛から解放されたグラフィティ・アートはその影響力を勢いよく拡大させていきました。そして「ストリート」を必要としなくなったグラフィティ・アートが、その表現の場をギャラリーやミュージアムにまで展開していったこと、ファイン・アートとして評価されたことは、当然の流れです。

この流れは、「デジタルカメラ」と「インターネット」の機能が融合した「スマートフォン」によってさらに加速しています。NYの路上に描かれたグラフィティ・アートを直後に世界中のどこからでも片手で見れるようになりました。画面というフィルタを通して、他国の街を眺めている物理的距離感が「落書き」という犯罪行為に対する感情的な嫌悪を抑えて作品価値へ目がいくように仕向けているような気もします。

グラフィティ・アートを日本で地下道の壁などに描くことは「器物破損罪」にあたり「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」に課せらる明確な犯罪です。各国でも同様に犯罪です。ちなみにバンクシーの弁護士は「バンクシーが壁に落書きした場合、その壁の資産価値は上がるのだから器物破損にはあたらない」と主張しています。実際にバンクシーが描いた壁が切り取られてアートオークションに出品されて数百万円とか数千万円という単位で取引されています。

映画を見てミスター・ブレインウォッシュの存在を疑った人は、彼の公式サイトへ。ミスター・ブレインウォッシュは著作権侵害で色々な人たちに訴えられて裁判で敗訴したりしつつ、マドンナのアルバムアートワークを手がけたり、そのストリート活動は現在も続いているようです。最近では東日本大震災チャリティーもやってくれました。

東映太秦映画村のある京都は「映画の都」です。他にも京都ではここでしか観れない映画がたくさん上映されているので、ホームページやTwitterを定期的にチェック!!

京都みなみ会館
住所:京都市南区西九条東比永城町79
電話:075-661-3993
ホームページ:http://kyoto-minamikaikan.jp/
Twitter:https://twitter.com/minamikaikan